真言密教
深遠なる仏の教え
真言密教の教えの源は、宇宙の真理を具現化させた大日如来(法身大日)です。
密教(秘密仏教)とは、深遠なる仏の教え、“密”という文字は、サンスクリット語で「グフヤ」(guhya)、‟秘密”のことです。端的にいえば、「仏様の教え」(宇宙の真理)そのものをいいます。それは、奥深くて容易に理解が及ばないゆえに、私たちが日常使う言語では意味を伝えたり、表現したりすることが難しいとされています。
いずれにしても、「真言」(マントラ)は仏様と通じる言葉。
したがって、真言は訳したり難しく考えたりせずお唱えすることが望ましいとされています。人々の悩みはいつの時代も同じ、それを解決する手段として「真言」(マントラ)がもちいられてきました。
もし悩みを本気で解決したいのであれば、あれこれと難しく考えず、まず一心にお唱えしてみること。
もちろん、「すぐに解決します」といい加減なことはもうしませんが、毎日少しずつでもお唱えすることで、やがて希望の光が少しずつ見えはじめ、徐々に悩みやトラブルが解決へと向かっていきます。
なお、真言(マントラ)は、悉曇文字〔1〕として高野山や四国霊場をはじめ、全国各地のお寺などでよく見かけます。また、護摩の時に炎の中に種子(梵字)が浮かび上がって見えるときもあります。私たちの身近に、「仏」(真理)は常に存在していると確信できる瞬間です。
注釈
悉曇文字〔1〕とは、サンスクリット語を表記する書体の一つです。シッダマートリカー。
なお、悉曇(梵:Siddhaṃ)には、「完成したもの」「成就したもの」という意味があります。
「真言」(真実の言葉)=仏の秘密(真理・教え)、さまざまな悩みから解放し明るい希望へと導いてくださる…
古より、人々のさまざまな悩みを解決する方法、それは深遠なる神秘の教え…、
だから、「密教」と称したのかもしれません。